ピッコロ

2016年1月記


ピッコロが悟空に抱いていた憎しみは、父の大魔王から受け継いだ記憶で、おそらくは自分自身の感情ではないんですよねぇ。生まれた時は「父の仇。殺す」と言っていたけど、成長して冷静に考えて「俺は誰だ?」って疑問をずっと感じてたんじゃないかな。それでも「ピッコロ大魔王だから」って、憎悪を向けられる。彼が置かれていた状況を考えると「悪」となるしか道が無かったと思います。

後に悟飯に言う「恨むんならてめえの運命を恨むんだな。この俺のように」と言う台詞は、生き方を選択出来なかったピッコロさんの辛さを感じますね。悟飯も秘めた戦闘力の高さゆえに、戦う事を決められてしまいます。ピッコロさんが悟飯に抱く情は、ここから始まったんですよね。

武道会で悟空に敗北してからラディッツが来るまでの5年間。どうして大人しくしてたのかって言うと、自分を見つめなおしていた時間も少しはあったんじゃないかなとか思ってます。後の同化に対する抵抗感とかも、根っこにあるのはこういう感情じゃないでしょうか。

悟飯に出会って、ようやく大魔王時代からの憎しみから解放されたのにまた誰かの精神を同居させなければいけない。と思うと、嫌な顔もしますよね。

ネイルも神様も「自分はきっかけにすぎない」と言ってますけど、結果を見れば、どんどん穏やかになったピッコロさんは何だか騙されてるような気も・・・。まあネイルの時は超パワーが手に入ったし、神様の時も背に腹は変えられなかったので、多少の変化は許容できたのでしょうけどね。

神様と同化した際には、「自分と命を共有する存在」と一つになれたので、ようやくピッコロさんは完全な一個の生命になれたんですね。それを「本当の名を忘れたナメック星人だ」と振り返るのがかっこいいですね。

悟飯との年の差が実は4つ違い。実年齢と精神年齢が一致しないと言うのは凄い悲しい設定だなと思います。ナメック星編で登場した子供のナメック星人をみていると、もしかしたらピッコロさんは早く悟空を倒すために自分の成長を早めた可能性もあるのかなと思います。



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